![]()
社内イベントが今、求められている理由
リモートワークが日常になった今、社員同士の顔が見えにくくなっています。
オフィスで何気なく交わしていた雑談や、ランチタイムの会話。そういった小さなコミュニケーションが、実は組織の風通しを良くしていたことに、多くの企業が気づき始めました。社内イベントは、失われつつあるこうした接点を意図的に生み出す場として、改めて注目されています。
単なる親睦会ではありません。社員のエンゲージメントを高め、部署を超えた連携を生み、企業文化を体感する機会。それが現代の社内イベントです。ただし、かつてのような「強制参加の飲み会」では逆効果。参加したいと思える企画、記憶に残る体験、そして業務にも良い影響を与える設計が求められています。
社内イベントを開催する本当の目的
なぜ企業は時間と予算をかけて社内イベントを実施するのでしょうか。
社員同士のコミュニケーション活性化
部署が異なれば、同じフロアにいても話す機会はほとんどありません。リモートワークが増えた今、その傾向はさらに強まっています。社内イベントは、普段接点のない社員同士が自然に会話できる数少ない機会です。
演出に凝った社内イベントに参加した会社員の約60%が、「雑談を含むリアルなコミュニケーションの増加」を実感したという調査結果もあります。顔と名前が一致するだけで、その後の業務連携がスムーズになることは少なくありません。
出典株式会社グローバルプロデュース「社内イベントとエンゲージメントの関係性とは」調査より作成
チームワークと部署間連携の強化
組織が大きくなると、部署ごとの壁ができやすくなります。いわゆる「タコツボ化」です。社内イベントを通じて他部署のメンバーと交流することで、「あの件は〇〇さんに聞いてみよう」という気軽な連携が可能になります。部署間の風通しを良くすることは、業務上の連携ミスを防ぎ、組織全体のパフォーマンス向上に直結します。
企業文化や理念の浸透
日々の業務に追われていると、会社のビジョンや理念を意識する機会は減りがちです。社内イベントは、経営層の想いや会社の方向性を直接伝える場として機能します。内定式や新入社員歓迎会などを通じて、新しく入社した社員に企業理念の意味や背景を伝えることもできます。
社員と家族への慰労
日頃から業務に勤しんでいる社員には、少なからず負担がかかっています。社内イベントを通じて、一度業務から離れることで、社員の気持ちをリフレッシュさせることができます。最近では「ファミリーデー」を設けている企業も増えており、社員の家族と会社のつながりを大切にする動きが広がっています。
産労総合研究所が2020年に実施した調査によると、ファミリーデーや勤続表彰式などの社内イベントによって、社員や家族の慰労の効果を実感した企業が50%を超えています。
出典産労総合研究所「2020年 社内イベント・社員旅行等に関する調査」より作成
離職率の抑止
社内の人間関係が良好であると、帰属意識も高まり、退職を意識するタイミングを減らすことにもつながります。自分が所属している部署内でのみのコミュニケーションでは視野も狭くなりますが、日頃接点のない社員と関わることで会社に対する意識も変わることがあります。人手不足で良い人材の確保が難しくなっている今、人材の流出を減らす可能性も秘めています。
社員が喜ぶ社内イベントのアイデア【目的別】

目的に応じて、最適な企画は変わります。
周年記念イベント
企業の節目を祝う周年記念は、会社の歴史を振り返り、未来を語る場です。経営陣からのメッセージ、社員表彰、記念品の配布などが定番ですが、最近では社員参加型のコンテンツを取り入れる企業が増えています。
例えば、創業時の写真や映像を使ったムービー上映、社員による思い出エピソードの共有、未来のビジョンを語るパネルディスカッションなど。記念品としては、企業ロゴ入りのオリジナルノベルティや、地域の特産品を使った食品ノベルティが喜ばれます。名入れされた高品質なアイテムは、社員にとって特別な記念になります。
キックオフイベント
新年度や新プロジェクトの開始時に行うキックオフイベントは、目標を共有し、チームの士気を高める場です。経営陣からの方針発表、各部署の目標共有、チームビルディングアクティビティなどが効果的です。
オンラインとリアルを組み合わせたハイブリッド型で開催することで、遠隔地の社員も参加しやすくなります。イベント後には、目標達成を応援するメッセージ入りのノベルティを配布すると、モチベーション維持につながります。
懇親会・交流会
部署を超えた交流を目的とした懇親会は、カジュアルな雰囲気で社員同士の距離を縮めます。ただし、かつてのような「強制参加の飲み会」は敬遠される傾向にあります。リクルートの調査によると、職場での飲み会の開催率は2017年の約75%から約60%に減少しています。
現在はランチ会、カフェタイム、スポーツ観戦、eスポーツ大会など、多様な形式が選ばれています。業務時間内での実施や、自由参加型にすることで、参加のハードルを下げる工夫が求められています。
出典リクルート「職場の飲み会に対する期待と参加実態を調査(2025年4月実施)」ホットペッパーグルメ外食総研より作成
社員総会・表彰式
全社員が集まる社員総会は、経営方針の共有や業績報告の場として重要です。表彰式を組み合わせることで、優れた成果を上げた社員を称え、他の社員のモチベーション向上にもつながります。
表彰式では、賞状だけでなく、記念品としてオリジナルノベルティを贈ることが一般的です。トロフィーや盾のような形式的なものではなく、日常使いできる実用的なアイテムが喜ばれます。ステンレスボトル、トートバッグ、高級ステーショナリーなど、名入れされた品質の高いアイテムは、受賞の記念として長く使われます。
運動会・スポーツイベント
体を動かすイベントは、チームワークを育み、普段とは違う一面を見せ合える場です。運動会、ボウリング大会、フットサル、ヨガ教室など、運動が苦手な人でも参加しやすい企画を選ぶことが大切です。
参加者全員にオリジナルTシャツやタオルを配布すると、一体感が生まれます。イベント後には、参加賞としてスポーツドリンクやエネルギーバー、入浴剤などの実用的なノベルティを配布すると喜ばれます。
ファミリーデー
社員の家族を会社に招待するファミリーデーは、家族に職場を知ってもらい、会社への理解を深めてもらう機会です。子ども向けのワークショップ、職場見学ツアー、社員による仕事紹介などが人気です。
家族向けのノベルティとしては、子どもが喜ぶお菓子の詰め合わせ、文具セット、エコバッグなどが効果的です。家族が持ち帰って使うことで、会社の印象が家庭内でも共有されます。
参加率を上げる工夫と成功のポイント

企画が良くても、参加率が低ければ意味がありません。
参加しやすさを最優先にする
社内イベントの成功要因として、最も重要なのは「参加しやすさ」です。業務時間内での開催、オンライン参加の選択肢、事前申込の簡素化など、参加のハードルを下げる工夫が必要です。
また、家族の予定や個人の事情に配慮し、自由参加型にすることで、参加者の満足度も高まります。強制参加と感じられると、イベント自体がストレスになってしまいます。
ハイブリッド型の活用
コロナ禍以降、リアルとオンラインを組み合わせたハイブリッド型イベントが主流になりつつあります。JTBコミュニケーションデザインの調査によると、コロナ禍以降に「良かった社内イベント」の約60%がハイブリッド型で開催されています。
ハイブリッド型の利点は、遠隔地の社員や育児・介護中の社員も参加しやすいこと。ただし、オンライン比率が高すぎると「聞くだけで退屈」と感じられる可能性もあるため、リアルとオンラインのバランスが重要です。
出典株式会社JTBコミュニケーションデザイン「社内イベントのコミュニケーション効果に関する調査」より作成
社員全員が同時に同じ体験をする意義
社内イベントの成功要因として、「社員全員が同時に同じ体験をすること」も重要です。組織として一体感を持ち、共通の記憶を作ることで、その後のコミュニケーションが円滑になります。
経営陣からのメッセージを直接聞く機会も、コロナ禍以前より15%増加しており、社員が経営層の考えを理解する場としての重要性が高まっています。
退屈させない工夫
社内イベントの失敗要因として最も多いのが「聞くだけで退屈」です。一方的な説明や長すぎるスピーチは避け、参加型のコンテンツを取り入れることが大切です。
クイズ、投票、グループワーク、ゲームなど、社員が能動的に参加できる企画を組み込むことで、記憶に残るイベントになります。また、「社長の話が長すぎる」という不満も多いため、簡潔で要点を押さえたメッセージが求められます。
記念品・ノベルティの活用法

ノベルティは単なる配布物ではありません。
体験価値を重視したノベルティ選び
近年、ノベルティに求められる役割は大きく変化しています。かつては「安く大量に配れるもの」が主流でしたが、現在は「受け取った人の体験価値」を重視する傾向が強まっています。企業の姿勢や価値観を体験として届ける重要なコミュニケーション手段として、ノベルティが見直されています。
単にロゴが入っているだけのグッズではなく、その背景にどのような素材選びがあり、どのような想いで作られているのかが自然と見られるようになっています。
食品ノベルティの効果
特に注目されているのが食品ノベルティです。食品は誰にとっても身近で、実際に口にすることで五感を使った体験になります。視覚だけでなく、味覚や香りまで含めてブランドを感じてもらえる点は、他のノベルティにはない大きな特徴です。
また、食品は使われずに引き出しに眠ることがほとんどなく、必ず消費されるという特性もあります。オフィスで同僚と分け合われたり、自宅で家族と一緒に食べられたりすることで、企業名やブランドが二次的に広がっていくケースも少なくありません。
展示会や周年イベントにおいて、食品ノベルティは持ち帰った後に改めて体験されるため、時間差で企業との再接点を生み出します。「あの時もらった〇〇が美味しかった」という形で会話が再開されることも珍しくありません。
名入れで特別感を演出
社名やロゴ、周年ロゴ、メッセージなどをパッケージに反映させることで、既製品ではなく「その企業のためだけに作られたもの」になります。ただし、名入れは目立てば良いというものではありません。過度に販促色を強めると、受け取る側の心理的な抵抗感につながる場合があります。
特に食品の場合は、「企業名を覚えてもらう」よりも先に「美味しそう」「ちょっと嬉しい」と感じてもらう設計が重要です。自然な形でブランドが溶け込んだデザインこそが、結果的に長く記憶に残ります。
SDGsや環境配慮の視点
現在、多くの企業がSDGsや環境配慮を経営の軸に据えています。その流れはノベルティにも及び、素材や製造背景まで含めて検討されるケースが増えています。規格外農産物を活用した食品、フードロス削減につながる加工品、簡易包装や紙素材を使ったパッケージなど、ノベルティ自体が社会課題へのアクションになる設計が求められています。
重要なのは「SDGs対応」と表記することではなく、実際の仕組みとして持続可能性に寄与しているかどうかです。食品ノベルティは、こうした背景を自然に伝えられる点でも優れています。どこの原料を使っているのか、どのような加工をしているのか、なぜこの商品を選んだのか。そうしたストーリーを添えることで、企業の価値観そのものが伝わります。
雑貨ノベルティとの組み合わせ
雑貨ノベルティにも独自の役割があります。トートバッグやステーショナリー、エコ雑貨などは視覚的な存在感があり、日常の中で繰り返し使われることでブランド露出が継続します。最近では食品と雑貨を組み合わせたノベルティ設計も増えており、雑貨で第一印象をつくり、食品で体験価値を補完するという考え方が主流になりつつあります。
インナーブランディングとしての活用
ノベルティは社外向けだけでなく、社員向けの記念品やインナーブランディングとして活用されるケースも増えています。周年記念の食品ノベルティを社員に配布することで、自社の歩みを実感できたり、家族に会社の話をするきっかけになったりすることもあります。ノベルティは外向きの広告であると同時に、内向きの共通体験でもあるのです。
予算管理と実務のコツ

企画が決まったら、次は予算とスケジュールです。
コストと体験価値のバランス
食品ノベルティには製造リードタイムやロット、賞味期限、物流といった特有の要素があります。企画段階から納期逆算で進めること、配布数量を現実的に見積もること、目的に応じて単価設計を行うことが欠かせません。
安さだけで選ぶと印象に残らず、逆に高価すぎると配布数が限られます。重要なのはコストと体験価値のバランスです。受け取った人が「これは良いものだ」と感じられる品質を保ちながら、予算内に収めることが求められます。
リードタイムを考慮したスケジュール
ノベルティ制作には時間がかかります。特に名入れやオリジナルデザインを施す場合、デザイン確認、サンプル制作、本生産、納品まで数週間から数ヶ月かかることもあります。イベント開催日から逆算して、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。
配布後を意識した設計
ノベルティは渡した瞬間がゴールではありません。どのようなシーンで食べられるのか、誰と共有されるのか、SNSに投稿される可能性はあるか。その後の行動まで想定することで、ノベルティは単発の販促物から、継続的なブランド接点へと進化します。
配布後にどのように使われるかを想像し、そのシーンに合ったアイテムを選ぶことが、長期的な効果につながります。
成功事例から学ぶポイント
実際に成功した企業の事例を見てみましょう。
技術発表会で一体感を醸成
ある企業では、年に一度の技術発表会「チャレンジアップ」を開催しています。最新のアイデアを披露する場として、楽しく、わかりやすく、難しい専門用語は使わないことをルールにしています。ユーモアを交えながら技術をアピールすることで、社員全員が技術の進化を実感できる場になっています。
実績の発表だけではなく、未来へ「挑戦」し、技術を「向上」させるための取り組みを全社員に向けて発表することで、組織全体の一体感が生まれています。
若手社員が企画するサマーイベント
別の企業では、入社2~3年目までの若手社員が中心となり、サマーイベントを企画・運営しています。バーベキューや屋台など、社員や家族が楽しめる内容で、500名近い参加者という大きな規模のイベントを実行しています。
研修の場として、リーダーシップを学ぶ機会にもなっており、普段は話せない部署の人とのコミュニケーションの場としても機能しています。成功した時の達成感は、得難い感動として若手社員の成長につながっています。
社員旅行で自由度を高める
年に一度の社員旅行を実施している企業では、団体旅行だけでなく、少人数のグループ旅行も選択できるようにしています。社員が旅行委員となって、旅行会社と連携しながら旅先を選定し、バス2台程度の団体旅行で気軽に参加できる形式にしています。
少人数のグループ旅行では、自分たちで自由に旅先を決められるため、TDL、USJ、横浜中華街、温泉、ゴルフ三昧など、多様な選択肢が用意されています。周年記念には海外旅行も実施しており、社員の満足度が高いイベントとなっています。
まとめ|社内イベントは企業文化を育む場
社内イベントは、単なる親睦会ではありません。
社員のエンゲージメントを高め、部署を超えた連携を生み、企業文化を体感する重要な機会です。リモートワークが普及し、社員同士の接点が減少している今だからこそ、意図的にコミュニケーションの場を設けることが求められています。
成功のポイントは、参加しやすさを最優先にすること。業務時間内での開催、ハイブリッド型の活用、自由参加型の設計など、社員の多様な働き方に配慮した企画が必要です。また、退屈させない工夫として、参加型のコンテンツを取り入れることも大切です。
記念品やノベルティは、イベントの記憶を長く残す手段として有効です。特に食品ノベルティは、五感を使った体験として記憶に残りやすく、二次的な広がりも期待できます。名入れやSDGsの視点、雑貨との組み合わせなど、企業の価値観を伝える設計が求められています。
予算管理においては、コストと体験価値のバランスが重要です。安さだけで選ぶのではなく、受け取った人が「これは良いものだ」と感じられる品質を保ちながら、予算内に収めることが求められます。
社内イベントは、企業と社員との関係性をつくる、小さな入り口です。「何を配るか」ではなく、「どんな体験を届けたいか」という視点で設計することが、これからの企業コミュニケーションにおいてますます重要になっています。

