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企業オリジナルパッケージ食品が注目される理由
企業のブランディング手法として、オリジナルパッケージの食品が急速に存在感を増している。
展示会や周年イベント、営業活動において、名刺やパンフレットだけでは伝えきれない企業の世界観を、食品という”体験”を通じて届けることができるからだ。視覚だけでなく、味覚や香りまで含めて五感でブランドを感じてもらえる点は、他のノベルティにはない大きな特徴である。
食品は必ず消費されるという特性も見逃せない。オフィスで同僚と分け合われたり、自宅で家族と一緒に食べられたりすることで、企業名やブランドが二次的に広がっていくケースも少なくない。持ち帰った後に改めて体験されるため、時間差で企業との再接点を生み出す。名刺交換の瞬間だけで終わらず、「あの時もらった〇〇が美味しかった」という形で会話が再開されることもある。
近年は、受け取った人の体験価値を重視する傾向が強まっている。単にロゴが入っているだけのグッズではなく、その背景にどのような素材選びがあり、どのような想いで作られているのかが自然と見られるようになっている。企業活動の透明性が高まり、サステナビリティや社会性が問われる時代において、オリジナル食品もまた企業の思想を映す鏡になった。

オリジナルパッケージ食品の制作プロセス
企画段階で押さえるべき要素
オリジナルパッケージ食品の制作は、企画段階から逆算して進めることが欠かせない。
まず配布数量を現実的に見積もる必要がある。展示会であれば来場者数、周年イベントであれば招待客数、営業活動であれば訪問先の数を基準に、余裕を持った数量を設定する。食品は賞味期限があるため、過剰在庫は避けなければならない。一方で、不足すると配布できない相手が出てしまうため、バランスが重要だ。
次に配布時期を明確にする。食品は製造リードタイムが長い場合が多く、デザイン確定から納品まで数週間から数ヶ月かかることもある。イベント日程が決まっているなら、そこから逆算して企画を開始する。特に繁忙期や年末年始を挟む場合は、通常よりも余裕を持ったスケジュールが必要になる。
目的に応じた単価設計も重要だ。安さだけで選ぶと印象に残らず、逆に高価すぎると配布数が限られる。重要なのはコストと体験価値のバランスである。展示会のバラマキ景品なのか、周年記念の特別な贈答品なのかによって、適切な単価帯は大きく変わる。
食品選定のポイント
どのような食品を選ぶかは、ブランディング効果を左右する重要な判断だ。
まず賞味期限を考慮する。展示会で配布する場合、持ち帰った後すぐに食べられるとは限らない。数ヶ月から半年程度の賞味期限がある商品を選ぶことで、受け取った側の心理的負担を減らせる。一方で、周年記念の贈答品であれば、特別感を演出するために生菓子や季節限定品を選ぶこともある。
次にターゲット層との相性を見極める。年齢や性別、嗜好によって好まれる食品は異なる。幅広い層に配布するなら、クセのない定番商品が安全だ。一方で、特定の業界や顧客層に絞るなら、その層に刺さる個性的な商品を選ぶことで、記憶に残りやすくなる。
また、持ち運びやすさも見落とせない。展示会では多くの資料を持ち帰るため、軽量でコンパクトな商品が喜ばれる。逆に、郵送で届ける場合は、多少重量があっても問題ない。配布シーンを具体的にイメージすることで、最適な商品が見えてくる。

デザインでブランドを表現する技術
名入れと企業ロゴの配置戦略
名入れは、既製品を企業専用のものに変える重要な要素だ。
社名やロゴ、周年ロゴ、メッセージなどをパッケージに反映させることで、その企業のためだけに作られたものになる。ただし、名入れは目立てば良いというものではない。過度に販促色を強めると、受け取る側の心理的な抵抗感につながる場合がある。特に食品の場合は、企業名を覚えてもらうよりも先に「美味しそう」「ちょっと嬉しい」と感じてもらう設計が重要である。
自然な形でブランドが溶け込んだデザインこそが、結果的に長く記憶に残る。例えば、パッケージ全面に大きくロゴを配置するのではなく、側面や裏面に控えめに配置する。あるいは、企業カラーをパッケージのベースカラーとして採用し、ロゴは小さく添える程度にする。こうした工夫によって、押し付けがましさを感じさせずに、ブランドを印象づけることができる。
ブランドカラーとトーンの統一
企業のブランドカラーをパッケージに反映させることで、視覚的な一貫性が生まれる。
名刺やウェブサイト、会社案内と同じカラーパレットを使うことで、受け取った側は無意識のうちに企業を認識する。色は言葉よりも早く脳に届くため、ブランディングにおいて極めて強力な武器になる。ただし、食品パッケージの場合は、美味しそうに見えるかどうかも重要だ。企業カラーがダークな色合いの場合、そのまま使うと食欲を減退させる可能性がある。そのような場合は、トーンを調整したり、差し色を加えたりして、食品に適した配色に仕上げる。
また、パッケージ全体のトーンを統一することも大切だ。高級感を出したいなら、マットな質感や箔押しを採用する。親しみやすさを出したいなら、明るい色合いや手書き風のフォントを使う。企業が伝えたいメッセージと、パッケージのトーンが一致していることで、ブランドイメージが強化される。
食品表示法の遵守と表示設計
オリジナルパッケージを作る際、見落としてはならないのが食品表示法の遵守だ。
2015年に施行された食品表示法により、すべてのPB商品において製造元を明記する必要がある。これは異物混入などの事件を踏まえ、消費者が目で見て確認できるよう、製造番号ではなく製造者名を直接記載する必要性から生まれた。パッケージの広告面以外の面には、賞味期限や原材料、アレルギー表示、栄養成分表示など、法令に基づいた表記事項を掲載しなければならない。
これらの表示は、デザインの自由度を制約する要素でもある。しかし、逆に言えば、法令を遵守していることが安心感につながる。グリコなどの大手メーカーが提供するオリジナルパッケージサービスでは、通常品と同じ工程で作成し、法令に基づいた表記事項を適切に掲載しているため、配布も安心だ。
出典
江崎グリコ株式会社「販促品に人気!企業オリジナルの菓子・食品」
より作成

小ロット対応業者の選び方
ロット数と単価のバランス
オリジナルパッケージ食品を制作する際、最初に直面するのがロット数の問題だ。
大手メーカーの中には、数万個単位でしか受け付けない場合もある。しかし、初めての試みや小規模なイベントでは、そこまでの数量は必要ない。そのような場合は、小ロット対応の業者を探すことになる。グリコのオリジナルパッケージサービスでは、約1万個からノベルティ用オリジナルデザインを承っているが、商品によってはさらに少ない数量から対応している場合もある。
小ロットになるほど単価は上がる傾向にあるが、在庫リスクを抑えられるメリットは大きい。万が一売れなかった場合、在庫を自ら抱えることになるというリスクを踏まえ、少量から生産することは賢明な判断だ。初回は小ロットで試し、反応が良ければ次回は数量を増やすという段階的なアプローチも有効である。
製造リードタイムの確認
食品ノベルティには製造リードタイムという特有の要素がある。
デザインが確定してから実際に商品が納品されるまで、数週間から数ヶ月かかることが一般的だ。特に繁忙期や年末年始を挟む場合は、通常よりも時間がかかる。企画段階から納期を逆算して進めることが欠かせない。イベント日程が決まっているなら、そこから逆算して、いつまでにデザインを確定し、いつまでに発注しなければならないかを明確にする。
また、修正が発生した場合のスケジュールも考慮する。デザイン案が一発で承認されることは稀で、通常は何度か修正を重ねる。その時間も含めて、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要だ。
サンプル確認と品質チェック
実際に発注する前に、必ずサンプルを確認すべきだ。
画面上で見たデザインと、実物のパッケージでは印象が大きく異なる場合がある。色味や質感、サイズ感など、実物を手に取ってみないとわからない要素は多い。また、食品そのものの味や品質も確認する必要がある。いくらパッケージが素晴らしくても、中身が期待外れでは意味がない。サンプルを社内で共有し、複数人の意見を聞くことで、客観的な判断ができる。

コストを抑える工夫と予算設計
既製品のパッケージ変更という選択肢
オリジナル食品を一から開発するのではなく、既製品のパッケージだけを変更するという方法がある。
これは最もコストを抑えられる手法だ。グリコのポッキーやプリッツなど、すでに人気のある商品のパッケージに企業ロゴやメッセージを印刷する。商品そのものの開発コストがかからないため、小ロットでも比較的安価に制作できる。また、知名度のある商品を使うことで、受け取った側の安心感も高まる。
ただし、この方法にも制約はある。パッケージのデザイン自由度は、完全オリジナルに比べると低い。また、使用できる商品が限られているため、企業のイメージに合った商品があるかどうかが鍵になる。
規格外農産物やフードロス削減の活用
近年、SDGsや環境配慮を経営の軸に据える企業が増えている。
その流れを受け、規格外農産物を活用した食品や、フードロス削減につながる加工品をオリジナル商品として採用するケースが増えている。これらの商品は、社会課題へのアクションになると同時に、コストを抑えられる可能性もある。規格外農産物は、味や栄養価は正規品と変わらないが、見た目の理由で市場に出回らない。これを加工食品として活用することで、原材料費を抑えつつ、サステナビリティをアピールできる。
重要なのは「SDGs対応」と表記することではなく、実際の仕組みとして持続可能性に寄与しているかどうかだ。どこの原料を使っているのか、どのような加工をしているのか、なぜこの商品を選んだのか。そうしたストーリーを添えることで、企業の価値観そのものが伝わる。
簡易包装と環境配慮型パッケージ
パッケージの素材選びも、コストと環境配慮の両面で重要だ。
過剰な包装を避け、簡易包装や紙素材を使ったパッケージを採用することで、コストを抑えられる。同時に、環境への配慮を示すこともできる。プラスチックを減らし、リサイクル可能な素材を使うことは、消費者からの評価も高い。ただし、簡易包装にすることで、商品の保護機能が低下しないよう注意が必要だ。配送中に破損したり、賞味期限が短くなったりしては本末転倒である。
成功事例から学ぶ実践的ノウハウ
展示会でのバラマキ景品としての活用
展示会では、数多くの出展社が並ぶ中で来場者の記憶に残ることが大きな課題になる。
その場での説明だけでは時間も限られており、後日思い出してもらえるきっかけが必要だ。食品ノベルティは、持ち帰った後に改めて体験されるため、時間差で企業との再接点を生み出す。例えば、グリコのポッキーチョコレートは、秋冬の販促ノベルティ品として人気だ。軽快な食感に焼き上げたプレッツェルにコクのあるチョコレートをコーティングしており、年齢・性別問わず喜ばれる。
また、プリッツ<旨サラダ>は、10種野菜とブイヨンがきいた深い旨みで、時期・客層問わず人気の販促ノベルティだ。展示会ブース集客用として、レトルトカレーを使う事例もある。広告面が大きく、さらにオリジナルデザイン面にQRコードを活用すれば、自社の情報をしっかり伝えられる。食品なので会社までお持ち帰りいただけるのもポイントだ。
出典
江崎グリコ株式会社「販促品に人気!企業オリジナルの菓子・食品」
より作成
周年イベントでの記念品としての活用
周年イベントは、企業にとって節目のタイミングであり、感謝の気持ちを形にして伝える重要な機会だ。
オリジナルパッケージの食品は、周年記念の特別な贈答品として高い効果を発揮する。例えば、創業50周年を記念して、企業の歴史を振り返るデザインをパッケージに施した菓子詰合せを制作する。グリコの「セレクション・ザ・グリコ」シリーズは、高さが44cmの大きな化粧箱に菓子を23点封入しており、重量2kg足らずのずっしり感がもらったお客様にご満足いただけるポイントだ。
周年記念の食品ノベルティを社員に配布することで、自社の歩みを実感できたり、家族に会社の話をするきっかけになったりすることもある。ノベルティは外向きの広告であると同時に、内向きの共通体験でもある。
出典
江崎グリコ株式会社「販促品に人気!企業オリジナルの菓子・食品」
より作成
食品と雑貨を組み合わせた設計
最近では、食品と雑貨を組み合わせたノベルティ設計も増えている。
雑貨で第一印象をつくり、食品で体験価値を補完するという考え方だ。例えば、オリジナルデザインのトートバッグに、企業ロゴ入りの菓子を詰め合わせる。トートバッグは日常の中で繰り返し使われることでブランド露出が継続し、菓子は味わいを通じて企業の姿勢を伝える。この組み合わせによって、ノベルティ全体の完成度が大きく高まる。

まとめ
企業オリジナルパッケージの食品は、単なる販促物ではない。
企業の姿勢や価値観を”体験”として届ける重要なコミュニケーション手段だ。視覚だけでなく、味覚や香りまで含めてブランドを感じてもらえる点は、他のノベルティにはない大きな特徴である。食品は必ず消費され、オフィスや自宅で共有されることで、企業名やブランドが二次的に広がっていく。
制作プロセスでは、企画段階から逆算して進めることが欠かせない。配布数量を現実的に見積もり、製造リードタイムを考慮し、目的に応じた単価設計を行う。デザインでは、名入れと企業ロゴの配置を自然な形で行い、ブランドカラーとトーンを統一する。食品表示法の遵守も忘れてはならない。
小ロット対応業者を選ぶ際は、ロット数と単価のバランス、製造リードタイム、サンプル確認を重視する。コストを抑える工夫としては、既製品のパッケージ変更、規格外農産物やフードロス削減の活用、簡易包装と環境配慮型パッケージの採用がある。
展示会や周年イベントという限られた機会だからこそ、「何を配るか」ではなく、「どんな体験を届けたいか」という視点でノベルティを設計することが、これからの企業コミュニケーションにおいてますます重要になっている。オリジナルパッケージ食品は、その最適解のひとつだ。

