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サステナブル経営とSDGsの関係性
企業を取り巻く環境は、この数年で劇的に変化しました。
気候変動、資源枯渇、生態系の損失といった環境問題は、もはや遠い未来の話ではありません。消費者も投資家も、企業の姿勢を厳しく見るようになりました。環境や社会に対して責任ある行動をとる企業を高く評価し、そうでない企業には厳しい視線を向けるようになっています。

サステナブル経営とは、環境保護、社会貢献、経済成長を同時に達成し、「企業の社会的責任」と「ビジネスの持続可能性」を両立させるための戦略的な経営手法です。単なる社会貢献活動ではなく、事業をとおして環境問題や社会問題の改善に取り組み、企業価値の向上を目指します。
SDGsは2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」のこと。国連に加盟する国が取り組むべき課題として、17の国際目標と169のターゲットが掲げられています。サステナブル経営を行ううえで、SDGsは重要な指標という位置づけといえます。
従来のCSR(企業の社会的責任)は、企業の主観によって進められる活動で、経営と一体化した活動とは限りませんでした。社会課題の解決によって経済的利益を獲得するという考え方が前面に出ることもありませんでした。一方、サステナブル経営は環境や社会課題の解決を経営課題の中心に置き、それによって企業の持続的な発展をめざす点で、CSRと大きく異なっています。
先進企業のSDGs実践事例
実際に、どのような企業がサステナブル経営に取り組んでいるのでしょうか?
シチズングループの「サステナブルファクトリー」
グループ全体で「サステナブル経営」に取り組んでいるのがシチズングループです。「サステナブルファクトリー」をコンセプトに、自社だけでなく、取引先も含めたバリューチェーン全体を持続可能な「ファクトリー」にしてゆく方針を示しています。
「サステナブルファクトリー」とは、生産性の向上だけでなくコンプライアンスや人権、労働慣行、事業継続計画(BCP)などに総合的に配慮した施設としています。その「サステナブルファクトリー」から生産された「サステナブルプロダクツ」を提供することで、持続可能な社会に貢献しつつ、企業グループが継続的に発展していくことを目指しています。
オムロンの技術で社会課題を解決
自社が持っている技術や商品で社会的課題の解決を目指しているオムロン。「ファクトリーオートメーション」「ヘルスケア」「ソーシャルソリューション」を注力分野と定め、これらの事業を通じて社会的課題を解決することで持続的な社会づくりに貢献し、企業価値を向上していくことを目指しています。
さらにもうひとつ、ステークホルダーからの期待をカタチにする課題解決策を進めています。ステークホルダーの期待とオムロンの持続的成長との相関関係の中で、重要なサステナビリティ課題を設置し、11項目20個の目標を設定し課題解決を進めています。

キリングループのCSV経営戦略
SDGsが採択される以前から、本業のビジネスを通じて社会課題を解決していく「CSV」を経営戦略の中心に据えてきたキリングループ。そのきっかけは、2011年の東日本大震災でした。地震と津波の影響で仙台の工場が大きな被害を受けましたが、グループ一丸となって「東北復興応援」の取り組みをスタート。
義援金や寄付金のような一時的な支援に依存せず、社会に貢献しながら経済価値を創出していく戦略で、福島の生産者と協力して開発した製品の発売や、東北のホップ産業支援などの経済活動を推進しました。その後も社会全体へポジティブな影響を与えられる取り組みを続けています。
凸版印刷の環境配慮型パッケージ開発
創業以来「印刷テクノロジー」をベースに、さまざまな社会的課題の解決に寄与してきた凸版印刷。リサイクル適性の高いパッケージやサステナブルな包材などの需要に迅速に対応するなど、新たな価値を創造するビジネスに挑戦してきました。各事業分野でSDGsの具体的な「定量目標」の設定に着手し、2050年度に「温室効果ガス排出実質ゼロ」「廃棄物ゼロエミッション」を目指すことを宣言しています。
さらには顧客企業のSDGsバリューチェーンをワンストップで支援する専門チームを編成し、支援活動を始めています。
出典講談社「企業のSDGs取り組み事例まとめ| Vol.1 「サステナブル経営」を …」より作成
環境配慮型ノベルティの戦略的活用
企業の姿勢や価値観を伝える手段として、ノベルティの役割が見直されています。
ノベルティ制作は、単なる販促物の準備ではなく、企業の姿勢や価値観を体験として届ける重要なコミュニケーション手段です。展示会や周年イベント、キャンペーン、営業活動など、企業と人が接点を持つ場面において、ノベルティは最初の印象を決定づける存在になります。パンフレットや名刺と違い、手に取られ、持ち帰られ、場合によっては誰かと共有されるため、そこに込められた世界観や品質感は想像以上に強く記憶に残ります。
近年、ノベルティに求められる役割は大きく変化しています。かつては安く大量に配れるものが主流でしたが、現在は受け取った人の体験価値を重視する傾向が強まっています。企業活動の透明性が高まり、サステナビリティや社会性が問われる時代において、ノベルティもまた企業の思想を映す鏡になりました。
SDGs対応ノベルティの実践例
規格外農産物を活用した食品、フードロス削減につながる加工品、簡易包装や紙素材を使ったパッケージなど、ノベルティ自体が社会課題へのアクションになる設計が求められています。重要なのは「SDGs対応」と表記することではなく、実際の仕組みとして持続可能性に寄与しているかどうかです。
食品ノベルティは、こうした背景を自然に伝えられる点でも優れています。どこの原料を使っているのか、どのような加工をしているのか、なぜこの商品を選んだのか。そうしたストーリーを添えることで、企業の価値観そのものが伝わります。単なる配布物ではなく、「この会社はこういう考え方をしている」というメッセージを、言葉以上に強く届けることができます。

木製ノベルティが生み出す価値
大東建託様の事例では、「自分たちだからできるサスティナブル」を追求し、木製ノベルティを通じて地域とのつながりを深めています。賃貸住宅をはじめ土地活用だけでなく、有料老人ホーム、保育園、物流施設、病院にホテルと、さまざまな暮らしを支える建物の建設を通じたまちづくりを全国で展開されています。
サスティナブルだから、社会から求められているから、やるのではなく、事業そのものがサスティナブルであるように、これからの環境経営時代に調和した取り組みの数々が注目されています。
イトーキ様の事例では、国産木材の循環を軸に、TCFDやTNFDといった国際的な開示フレームワークにも通じる取り組みを2010年から開始。Eco Levelを商品に記載されたりと、会社の文化として、時代を先駆けて「サスティナブル」であること、環境と人の共生が根付いています。そこから生まれた株主優待の”つみき”は、単なるアップサイクル製品ではなく、理念と共創が重なり合って生まれた「体験価値のあるギフト」として評価されています。
出典エコプロ「お客様製作実績/お客様の声 SDGsノベルティ活用事例」より作成
ステークホルダーへの効果的な発信方法
サステナブル経営の取り組みを、どのように伝えるべきでしょうか?
ステークホルダーとの関係構築は、サステナブル経営において極めて重要な要素です。企業は従業員、顧客、地域社会との関係を重視し、公正な労働条件、多様性と包摂性の促進、地域コミュニティへの貢献など、多様なステークホルダーに対して社会的な責任を果たすことが求められます。
ノベルティを活用した体験価値の創出
ノベルティは、ブランド認知度の向上、顧客ロイヤルティの強化、新規顧客の獲得、キャンペーンの強化などのアウターブランディングへの効果とともに、社内モチベーション向上などのインナーブランディングにも効果的です。
食品ノベルティは誰にとっても身近で、実際に口にすることで五感を使った体験になります。視覚だけでなく、味覚や香りまで含めてブランドを感じてもらえる点は、他のノベルティにはない大きな特徴です。また、食品は使われずに引き出しに眠ることがほとんどなく、必ず消費されるという特性もあります。オフィスで同僚と分け合われたり、自宅で家族と一緒に食べられたりすることで、企業名やブランドが二次的に広がっていくケースも少なくありません。
展示会においては、数多くの出展社が並ぶ中で来場者の記憶に残ることが大きな課題になります。食品ノベルティは、持ち帰った後に改めて体験されるため、時間差で企業との再接点を生み出します。名刺交換の瞬間だけで終わらず、「あの時もらった〇〇が美味しかった」という形で会話が再開されることも珍しくありません。
名入れとデザインの戦略
ノベルティ制作において欠かせない要素のひとつが名入れです。社名やロゴ、周年ロゴ、メッセージなどをパッケージに反映させることで、既製品ではなく「その企業のためだけに作られたもの」になります。ただし、名入れは目立てば良いというものではありません。過度に販促色を強めると、受け取る側の心理的な抵抗感につながる場合があります。
特に食品の場合は、「企業名を覚えてもらう」よりも先に「美味しそう」「ちょっと嬉しい」と感じてもらう設計が重要です。自然な形でブランドが溶け込んだデザインこそが、結果的に長く記憶に残ります。

社内外コミュニケーションツールとしての活用
ノベルティ制作で見落とされがちなのが、社内外のコミュニケーションツールとしての側面です。社外向けだけでなく、社員向けの記念品やインナーブランディングとして活用されるケースも増えています。周年記念の食品ノベルティを社員に配布することで、自社の歩みを実感できたり、家族に会社の話をするきっかけになったりすることもあります。
また、近年は「配布後」を意識した設計も重要視されています。ノベルティは渡した瞬間がゴールではありません。どのようなシーンで食べられるのか、誰と共有されるのか、SNSに投稿される可能性はあるか。その後の行動まで想定することで、ノベルティは単発の販促物から、継続的なブランド接点へと進化します。
出典田辺コンサルティング「顧客との絆を深めるノベルティ!ブランディングにおける重要性とは」より作成
効果測定と継続的改善の指標
取り組みの成果を、どのように測るべきでしょうか?
サステナブル経営の効果測定には、統一性のある評価基準の設定が期待されています。現在、The Global Reporting Initiative(GRI)という組織が、サステナビリティ評価の国際基準となるGRIスタンダードを設定しています。
GRIスタンダードの活用
GRIスタンダードは3つのカテゴリで構成されています。全ての組織に共通する「GRI共通スタンダード」、特定の業界に特化した「GRIセクター別スタンダード」、特定のテーマに焦点を当てた「GRI項目別スタンダード」です。これらのスタンダードを活用することで、企業は自社のサステナビリティ経営を客観的に評価し、改善点を明確にすることができます。
ノベルティ施策の効果測定
ノベルティ施策の効果測定においても、具体的な指標設定が重要です。配布数や配布先だけでなく、受け取った人の反応、SNSでの言及、問い合わせ数の変化、ブランド認知度の向上など、多角的な視点から効果を測定することが求められます。
実務面では、食品ノベルティには製造リードタイムやロット、賞味期限、物流といった特有の要素があります。企画段階から納期逆算で進めること、配布数量を現実的に見積もること、目的に応じて単価設計を行うことが欠かせません。安さだけで選ぶと印象に残らず、逆に高価すぎると配布数が限られます。重要なのはコストと体験価値のバランスです。
継続的な改善サイクルの構築
サステナブル経営は一度取り組めば終わりではありません。継続的な改善サイクルを構築し、PDCAを回し続けることが重要です。目標設定、実行、効果測定、改善という一連のプロセスを繰り返すことで、企業のサステナビリティは着実に向上していきます。
ノベルティ施策においても同様です。配布後のフィードバックを収集し、次回の企画に活かすことで、より効果的なコミュニケーションツールへと進化させることができます。
出典D-SOL「サステナビリティ経営とは?取り組む意義や事例、SDGsとの違いを …」より作成
まとめ:サステナブル経営とノベルティの未来
サステナブル経営は、もはや選択肢ではなく必須の経営戦略です。
環境保護、社会貢献、経済成長を同時に達成し、企業の持続可能性を高めることが求められています。先進企業の事例から学べるのは、単なる表面的な取り組みではなく、事業の中核にサステナビリティを組み込むことの重要性です。シチズングループ、オムロン、キリングループ、凸版印刷といった企業は、それぞれの強みを活かしながら、社会課題の解決と企業価値の向上を両立させています。
ノベルティは、こうしたサステナブル経営の姿勢を体験として届ける重要なコミュニケーション手段です。特に環境配慮型ノベルティは、企業の価値観を言葉以上に強く伝えることができます。規格外農産物を活用した食品、木製アイテム、簡易包装など、ノベルティ自体が社会課題へのアクションになる設計が求められています。
ステークホルダーへの効果的な発信においては、ノベルティの戦略的活用が鍵となります。食品ノベルティは五感を使った体験を提供し、雑貨ノベルティは日常の中で繰り返し使われることでブランド露出を継続します。名入れやデザインにも工夫を凝らし、受け取った人が「美味しそう」「ちょっと嬉しい」と感じる設計が重要です。
効果測定と継続的改善も忘れてはなりません。GRIスタンダードのような国際基準を活用しながら、自社の取り組みを客観的に評価し、PDCAサイクルを回し続けることが求められます。ノベルティ施策においても、配布後のフィードバックを収集し、次回の企画に活かすことで、より効果的なコミュニケーションツールへと進化させることができます。
展示会や周年イベントという限られた機会だからこそ、「何を配るか」ではなく、「どんな体験を届けたいか」という視点でノベルティを設計することが、これからの企業コミュニケーションにおいてますます重要になっています。ノベルティは「配る広告」ではありません。企業と人との関係性をつくる、小さな入り口です。特に食品ノベルティは、味わいを通じて企業の姿勢を伝えられる数少ない手段です。
サステナブル経営とノベルティ活用を組み合わせることで、企業は社会課題の解決に貢献しながら、ステークホルダーとの強固な関係を構築し、持続的な成長を実現することができます。今こそ、自社の価値観を体験として届けるノベルティ戦略を見直す時です。

